病院で「ゼーゼーしている」と言われたときに考えられること:喘息の診断について|玉谷キッズクリニック【箕面市船場西の小児科】

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病院で「ゼーゼーしている」と言われたときに考えられること:喘息の診断について|玉谷キッズクリニック【箕面市船場西の小児科】

病院で「ゼーゼーしている」と言われたときに考えられること:喘息の診断について

カゼだと思って、小児科を受診したときに「胸の音がゼーゼーしてますね」と言われたことがあるかもしれません。

 

 

「ゼーゼーしている」と言われたときに考えられること

医師が呼吸の音を聞くとき、「肺炎」のような音か、「気道が狭くなっている」音が鳴ってないかをチェックします。気道が狭くなっていると、笛を吹くようなヒューヒューという音がなったり、ゼーゼーというような音がなったりします。気道、つまり息の通り道がせまくなる代表が喘息です。喘息の場合に狭くなるのは、気管支という息の通り道の中でも、奥の方の部分です。

息の通り道の中でも、手前のほう、のどのあたりが異物を飲み込んでつまったりして狭くなったときもヒューヒュー、ゼーゼーすることもあるので、異常な音が聞こえたときにはどこの異常なのか?ということも合わせて考えます。

「ゼーゼーしている」という時にも、いくつかの病気を考えますが、一番念頭においているのが、「喘息」です。

ゼーゼーしている、って言われたら喘息を考えないといけないんだね

 

 

そもそも喘息って?

喘息は、気管支の慢性的な炎症により引き起こされる呼吸器の病気です。炎症によって気管支は過敏になり気道がせまくなることで咳をしたり呼吸が苦しくなったりします。

寒暖差による刺激や、気圧の変化、アレルゲンに対して反応すると、いわゆる「喘息発作」をおこし、咳や息切れ、呼吸困難、聴診器で聞くとゼーゼー、ヒューヒューする呼吸音が聞こえるようになります。これらの症状は特に夜間や早朝に悪化することが多く、夜間の救急病院に走ったことがあるという人も多いと思います。

 

 

 

喘息の診断はどうするの?

聴診が大事

小さい子供の場合は、聴診が非常に大事です。聴診器で胸の音を聞き、ヒューヒュー、ゼーゼーといった喘息の音が聞こえるかどうかで診断していきます。ただし、深く深呼吸をしないとただいく音が聞こえないこともあり、低年齢の子の聴診は非常に難しいです。

かざぐるまや、ティッシュを吹かせる遊びをすることで、聞こえやすくなる場合もあります。

 

問診

問診も非常に有用です。咳がひどくなる時が夜間や明け方に多い、季節の変わり目に多い、など喘息に特徴的な経過であるかどうか、アレルギー性鼻炎やアトピーなど他のアレルギー疾患を合併していないか、家族に喘息の方はいるかなどを聞いていきます。

小さい子で、しっかり深呼吸をさせるのって難しいですよね(汗)
ほかにも、朝とか夜など、いつ咳の症状があるのか、というのも大事なんですね

 

 

 

小さい子でも喘息の診断はできるの?

「まだ小さいから喘息かどうか分かりません」と言われたことはないでしょうか?

もう少し、かみくだくと、「小さい子の喘息は診断が難しい」といえます。

 

喘息ではない喘息みたいな状態「喘息性気管支炎」

喘息というのは、炎症により気管支がキュッと狭くなってしまうことで咳がでたり呼吸が苦しくなったり、特有の呼吸音が生じる病気です。

小さいお子さんの場合は、大人と比べると体が小さいので、そもそも気管支も狭いものです。そこに、カゼをひいて痰などがからむと狭くなり、喘息のようになることがあります。ただし、これは痰などによって狭くなっているのであり、炎症により気管支そのものが狭くなっている喘息とは、状況が違います。

しかし、起きる症状というのは、咳や呼吸困難、特有の呼吸音も同じなので区別ができないんです。

そのため、喘息の音が鳴っている、としても、小さい子の場合は「喘息」と断定することが難しいんです。

 

小さい子は喘息の診断はできないの?

とはいっても、分からない、と言い続けて喘息の子を見逃してしまうのも問題です。

「喘息みたい」な状況と考えても3回以上起きる場合や、家族に喘息の人がいるなどの家族歴、またご自身がアトピーなどのアレルギー疾患がある、などの情報をもとに総合的に判断します。

このあたりの判断はグレーゾーンが多く、判断に悩みやすいところなので、「うちの子は喘息なのかな?」とご不安になられましたら、一度受診をおすすめいたします。

 

小さい子の場合、喘息とすぐに断定できないことも多いんです
咳が長引くときやひどい時に、呼吸音を聞いてもらったり、状況をかかりつけの先生に診てもらうことが、診断にとても大事になってきます

 

 

喘息の検査はあるの?

喘息の診断にかかわる検査はいくつかあります。これらの検査は喘息の診断に必須ではありません。小児科領域であれば、通常は今までの経緯(病歴)と診察結果(聴診)で診断をしていきますので、検査は補助的な位置づけとなります。

 

呼吸機能検査

スパイロメトリーという機械をつかって、息がしっかり吸えているか、吐きだせるのかということを調べる検査です。専用の機械を用いて、思いっきり吸って思いっきり吐くということをして調べます。喘息であれば、気管支が狭くなっていることで、うまく吐けていない、という判定になります。

※当院では、まだ機器の導入を行っていません

 

血液検査

血液検査で調べるのはアレルギーの有無です。花粉症や、ダニやハウスダストのアレルギーがあると、喘息の可能性があがります。

スギやダニなどアレルゲンに反応があっても、イコール喘息というわけではないので、この点は注意が必要です。

 

呼気NO

NO(一酸化窒素)という物質が喘息の方は増えます。咳が続き、カゼなのか喘息なのか、区別しにくい時などに検査して、数値が高いと喘息の可能性を考えます。アレルギー性鼻炎の方でも数値が上がるので、注意が必要です。また、うまく呼吸しないと結果がしっかりと出ないので、小さい子では検査が困難です。

※当院では、まだ機器の導入を行っていません

検査もいろいろあるんですね
これだけ検査があると、どれかしておいた方がいいのかな?と不安になるかもしれませんね

 

 

喘息の人はアレルギー検査が絶対いるって聞いたけど?

喘息の方はアレルギー検査は必須というわけではありません。何かにアレルギーがあったとしても、喘息症状が一度も出たことがない方も多いですし、一方で喘息の方で検査をおこなっても、調べたどのアレルゲンにも反応していないということも、よく経験します。

喘息の方が、治療にうまく反応しない場合に、原因物質を取り除く必要があるケースがありますので、その場合には積極的に検査を行っていきます。

 

 

 

喘息の薬はどんなものがあるの?

喘息の治療には、主に2つのカテゴリーの薬が使用されます。1つは今しんどい状態を治す治療(発作治療薬)、もう1つは普段から使うことによって発作をおきにくくするお薬(長期管理約)にわかれます。

 

喘息の発作治療薬

喘息発作は息の通り道である気管支が狭くなることで呼吸が苦しくなる病気なので、気管支をひろげてあげる治療が必要です。モクモクと煙がでる薬を吸う、吸入薬を病院でしてもらった人もいるかもしれません。処方薬では、背中などにはりつけるテープのお薬もそれにあたります。

 

喘息の長期管理薬

喘息で、気管支がせまくなってしまう原因は「炎症」です。慢性的に「炎症」というダメージが気管支にあたえられることにより、気管支が狭くなってしまいます。その炎症をおさえるお薬としては内服のお薬と一つは炎症を抑えるための吸入ステロイド薬です。

内服のお薬にはモンテルカスト(商品名:キプレス、シングレア)、プランルカスト(商品名:オノン)があり、吸入ではステロイド吸入があります。これらは1週間や2週間ではなく、3~6カ月単位で続けていく必要があり、症状によっては数年必要になるケースもあります。

症状に応じて考えていくので、お薬を使う必要があるのか?いつまで続けないといけないのか?について疑問に思われたら、ご相談ください。

 

お薬はいろんな種類があるので、処方されても分からなくなってしまうと思います
疑問に思われたら、次の外来のときに薬の作用などをお気軽にお尋ねください

 

 

喘息の薬は一生続けないといけないの?

小児期発症の喘息は大人になるまでに治る人も多くいます。しかし、しっかり治療しないと、気管支のダメージが一生残ってしまう人もいるため、必要な場合には欠かさず治療をうけていただくことが大事です。長期管理薬の止め時は個人差が激しいところです。通常は3か月単位で経過をみて、継続の可否を判断します。また、生活習慣の見直しも治療経過をよくするためには大事なので、バランスの良い食事や、しっかりした睡眠なども心掛けていただくことがオススメです。

 

 

まとめ

「ゼーゼーしている」と言われたときに考えることをまとめました。

過去に、また最近、「ゼーゼーしている」と言われたり感じたりして、どうすればいいのかな?と疑問に思われて、解決しないようでしたら、ぜひ受診していただけたらと思います。