
ぶつぶつがある
ぶつぶつがある
「急に肌に赤いぶつぶつが出てきてびっくりした…」
「かゆがっているけど、原因がわからない…」
「病院に行った方がいいのか、様子を見てよいのか悩む」
子どもの皮膚はとても敏感で、ちょっとした刺激や体の変化でもすぐに反応してしまうことがあります。突然現れる「ぶつぶつ」は、感染症、アレルギー、乾燥、熱など、原因も見た目もさまざまです。
このページでは、小児科専門医の立場から、ぶつぶつ(皮膚の発疹)の種類、原因、受診の目安、家庭でのケア、治療方法についてわかりやすくご紹介します。お子さまの肌に異変を感じたとき、安心して対応できるよう、ぜひご活用ください。
「ぶつぶつ」の治療は、その原因によってまったく異なります。自己判断で市販薬を使う前に、まずは正確な診断が大切です。
治療方針は次のように分かれます:
診察では以下の項目をもとに、発疹の原因を見極めていきます:
✓ 発熱とともにぶつぶつが出てきた
✓ 水ぶくれやかさぶたが広がっている
✓ 強くかゆがって眠れない、ひっかき傷が目立つ
✓ 同じような症状が家族や保育園でも流行している
✓ 発疹が広範囲に広がっている
✓ 症状が1週間以上続いている、または悪化している
①:赤く平らなぶつぶつ(紅斑)
ウイルス性発疹、薬疹、アレルギー反応などによく見られます。全身に広がる場合は感染症の可能性があります。
②:水ぶくれを伴うぶつぶつ
水ぼうそう、ヘルペスなどの感染症が考えられます。ヤケドで水ぶくれになることもあります。
③:赤くてザラザラしたぶつぶつ
湿疹を考える所見です。かゆみがあることが多いです。
④:白っぽいぷっくりしたぶつぶつ(水いぼ)
水いぼは伝染性軟属腫とも呼ばれるウイルス感染症で、主に皮膚の接触でうつります。
⑤:一部だけに集中したぶつぶつ(接触性皮膚炎など)
金属や植物、洗剤、よだれなどの刺激によって、一部分にぶつぶつが出ることがあります。ザラザラした赤い感じになります。原因を取り除くことが大切です。
①:ウイルス性発疹(突発性発疹・風疹・手足口病など)
発熱後に出ることが多く、全身に広がる赤い発疹が特徴で、平坦なことが多いですが、手足口病などはぷつぷつと盛り上がっているようになります。突発性発疹は解熱後に発疹がでるのが特徴です。多くは自然に治癒しますが、集団生活への復帰には注意が必要なものもあります。
②:とびひ(伝染性膿痂疹)
傷口や虫刺されをかきこわすことで細菌感染し、ジュクジュクして、黄色いかさぶたが広がるのが特徴です。感染力があるため広がりやすく、早めの治療が必要です。
③:アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う慢性的な湿疹が特徴で、くり返し出たり、かき壊して悪化することがあります。関節部分を中心に左右対称にできることが特徴です。乾燥やアレルゲンの管理も必要です。
④:虫刺され・汗疹(あせも)
季節的に多く、腕や足、首まわりなどにかゆみを伴うぶつぶつが出ます。虫刺されでは1つだけ赤く腫れることもあります。
⑤:食物アレルギー・薬疹
アレルギー反応として発疹が出ることがあります。原因食材や薬の摂取後に出現した場合は、受診とともに記録しておくことが重要です。
①:皮膚を清潔に保つ
汗や汚れをそのままにしておくと、ぶつぶつが悪化する原因になります。ぬるめのシャワーで優しく洗い、刺激の少ない石けんをネットでクリーミーに泡立てて使いましょう。
②:かきむしりを防ぐ工夫
爪を短く切り、就寝中にひっかかないようミトンをつけたり、保湿剤で肌を保護しておくことも有効です。かゆみをやわらげる内服薬を使うこともあります。
③:衣類は肌にやさしい素材で
肌への摩擦や刺激を避けるため、綿素材の通気性の良い服をためしてみてください。汗をかいたらこまめに着替えることも大切です。
④:よく観察し、記録する
発疹の出た日、形、かゆみの有無、熱との関係などを記録しておくと、診察時の手がかりになります。
⑤:市販の軟膏
市販薬は比較的手軽に手にはいるので、ドラッグストアの薬剤師さんと相談し、使ってみるのも方法です。市販品で悪化した場合や、判断がつかない場合には、受診してご相談ください。
①:保湿剤・スキンケア
乾燥や軽度の湿疹には、保湿剤を使って肌のバリア機能を整えることが大切です。1日2回の使用が効果的です。
②:ステロイド外用薬
炎症が強い場合には、医師の判断でステロイド外用薬を使用します。適切な強さと使用期間を考えることが大切です。ステロイドの副作用は、塗る期間が長くなると出やすくなるので、最初にしっかり塗ってスパッと治すことでトータルのステロイド使用期間を短くするのがコツです。どうしても長期に必要な場合は、必要性を都度吟味し、またステロイド以外の薬が使えないかも考える必要があります。
③:抗アレルギー薬の内服
かゆみが強い場合やアレルギーが関係している場合には、抗ヒスタミン薬などの内服を併用することがあります。
④:抗菌薬の外用・内服
とびひなどの細菌感染には、抗菌薬を使った治療が必要です。感染の広がりを防ぐため、家族内でのタオル共有などは避けましょう。
⑤:水いぼの治療
数年とながい時間を待てば自然に治りますが、かゆみが強いなどお困りでしたら自費の専用クリームを使うことで早期の改善を期待できます。
Q:ぶつぶつがあるけど、熱もなく元気です。様子を見てよい?
A:元気があり、かゆみや痛みが強くないようであれば、まずは保湿などで様子を見ても構いません。ただし広がったり悪化する場合はご相談ください。
Q:保湿をしてもぶつぶつが治りません。どうしたら?
A:炎症や感染がある場合は保湿だけでは治りません。診断の上、適切な外用薬を処方します。
Q:とびひってうつりますか?
A:はい。とびひは非常に感染力が高く、特に兄弟間や保育園内で広がることがあります。発症したら早めの治療と感染対策が必要です。
Q:水いぼは自然に治りますか?
A:自然治癒も可能ですが、広がるリスクやかゆみがある場合には治療を検討しましょう。皮膚科さんでは、直接とる治療を行っているところもあります。当院では、漢方の内服や、自費の専用クリームをご提案しています。
Q:アレルギーかどうかの検査は必要ですか?
A:繰り返すぶつぶつや、食事との関係が疑われる場合は、アレルギー検査を行うことがあります。アレルギーの診断医は、検査も大事ですが、問診のほうがさらに重要です。
子どもの肌は、体の内側や生活環境の変化を映し出す鏡のようなものです。「たかがぶつぶつ」と思わず、適切なタイミングで受診・ケアを行うことで、より早く、快適な毎日を取り戻すことができます。
ご心配なことがあれば、どうぞいつでもお気軽にご相談ください。