夜尿症|玉谷キッズクリニック【箕面市船場西の小児科】

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夜尿症

夜尿症|玉谷キッズクリニック【箕面市船場西の小児科】

夜尿症とは

夜尿症とは

睡眠中に無意識に排尿してしまう症状で、5歳を過ぎて1カ月に1回以上の夜尿が3カ月以上続く場合を夜尿症と定義しています。5歳で15%(6~7人に1人)みられ、徐々にその頻度は低下していきますが、12歳~14歳でも2~3%(中学校で1クラスに1名弱程度)とのデータもあるので、意外に多いと思われるのではないでしょうか。

夜尿症の原因

夜尿症の原因としては

  • 夜間多尿
  • 膀胱の問題

にわけて考えます。

夜間多尿

通常は寝ている間は抗利尿ホルモンというホルモンが作られ、尿の量を少なく調整していますが、このホルモンの分泌が少ないと夜間に溜められる以上の尿が作られてしまいます。成長とともに抗利尿ホルモンがしっかりと作られるようになりますが、分泌が十分になるまで時間がかかる子もいます。

膀胱

成長に伴い、膀胱も大きくなります。しかし膀胱の発達が遅れると、十分な量の尿を溜めておくことができないため夜尿の原因となります(膀胱容量の減少)。また、膀胱の反応が過敏だと、少量の尿しかたまっていないのに、排尿してしまうということもあります(過活動膀胱)。

その他

上記のほかに、脊髄の異常により正常に膀胱をコントロールできなかったり、感染症や尿路そのもの異常、水分を習慣的に多量にとりすぎてしまうこと、便秘、精神的なものが原因となることもあります。

夜尿症の受診のタイミング

小学生になっても夜尿が続く場合には、相談してください。まれに疾患に伴う夜尿の場合もありますので、一度は診察を受けておくことをお勧めいたします。
小学生で夜尿が続くと、友達と楽しく過ごすイベントであるはずの、お泊まり行事等を含めた学校生活に不安を抱えたまま参加することになります。小学性にもなると、夜尿のことを聞かれても恥ずかしがって「気にしていない」と言いがちですが、後々「やっぱり気にしていた」と言ったり、治療で改善すると「治ってよかった」という声を聞きますので、本人が気になったときはもちろんですが、親御さんが気になった時点が受診のタイミングとも言えます。

夜尿症の検査/診断方法

夜尿症は、夜間の尿失禁の頻度や飲水量などの生活習慣から診断をすることが可能です。原因や増悪因子を調べるために問診・診察の他、必要に応じた検査を考慮します。

診察

背中をみて、とくに腰あたりの脊髄に異常がなさそうかをチェックします。肥満や扁桃腺が大きいような患者さんの場合、睡眠時無呼吸から夜尿症につながっている場合もあります。便秘があるとお腹の左↓あたりに塊をふれることがあるのでチェックします。陰部を確認させていただくこともあり、たとえば女児の場合に異所性尿管(おしっこの出口が通常と違う場所にある)があることもあり、その場合は昼夜問わずお漏らししていたりします。

尿検査

夜尿症が疑われる場合、細菌感染(膀胱炎)を起こしていて、頻尿傾向になっていないかを調べます。また、尿タンパクなどをみて、腎炎のような所見がないかを調べます。

画像検査

膀胱や腎臓、尿管などに何らかの病気がないかを調べる検査が行われることもあります。
画像検査には様々な種類がありますが、多くは身体への負担が少ない超音波検査を行うことが多いです。さらに詳しく調べる必要がある場合は、CTやMRI検査などを行います。当院では画像検査を行っていないので、必要な患者さんには連携病院を紹介します。

血液検査

夜間の尿量が多いことが原因となる場合、尿の産生に関連する抗利尿ホルモンの異常の有無を調べるために、血液検査を行うこともあります。尿糖がでていると多尿の原因となりますので、それも調べます。

夜尿症の治療

夜尿症は、重症度や原因によって次のような治療が行われます。

生活指導

夜尿症の治療の基本は、生活改善です。
具体的には、夕方以降は水分の摂取を控えめにする、就寝前に排尿を済ませる、利尿効果のあるカフェインを含んだ飲料(お茶、コーヒー)を控えることなどがあります。塩分も夜尿の原因となるので、夕食時のお味噌汁やスープをさけたりします。

薬物療法

生活改善を行っても症状が軽快しない場合は、薬物療法が行われます。
尿の産生を抑える抗利尿ホルモンの内服や、膀胱の筋肉を緩めて容積を大きくする抗コリン薬などを使用します。

夜尿アラーム療法

下着やオムツに尿漏れを感知するセンサーを装着し、尿失禁が生じる前にアラームが鳴って排尿行動を促す治療法です。
尿意が生じても目が覚めずに尿失禁をしてしまう場合の治療によいとされています。
訓練を繰り返すことで自然に尿失禁がなくなっていくケースも多いことが分かっています。

便秘治療

意外と見落とされがちなのが、便秘治療です。便秘があると、溜まった便が膀胱を刺激して排尿が促進されてしまいます。便秘の治療のみで、夜尿が改善されるケースも多くあります。

治療のゴール

夜尿症の治療ゴールは薬物などに頼らず、厳密な水分制限などを行わなくても夜尿がでなくなることです。治療を行い、夜尿が消失したあとは、しばらく治療継続で様子をみていきますが、宿泊学習を終えた後などを目安に投薬を休止してみて、治療を終了できるかどうかをみていきます。