
長引く発熱
長引く発熱
お子さんの発熱が数日続くと「大丈夫かな?」「何か重大な病気では?」と心配される方が多いです。
小児科では、「発熱が何日も続く原因が何か」を見極め、その原因に応じた治療が必要です。単に熱を下げるだけでなく、背景にある病気(細菌感染症、特殊なウイルス感染、膠原病、悪性疾患など)を見逃さないことが重要です。
また、一般的な風邪ではなく、重症な感染症や慢性的な病気のサインである可能性もあるため、「長引く発熱」=原因検索が必要なサインとご理解ください。
長引く発熱の診断では、以下のような詳細な診察を行います。
即座に治療開始するか、追加検査を行いながら経過観察するかを判断します。
✓4日以上続く原因不明の発熱
✓ 高熱と共に体重減少、食欲不振がある場合
✓ 発疹、リンパ節の腫れ、関節痛などがある場合
✓ ぐったりして元気がない、反応が鈍い
✓ 水分がとれず脱水が疑われる
✓ 呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている
✓ 以前治療したが良くならない
①1週間以上続く発熱
通常のウイルス感染症は3〜4日で解熱することが多いですが、1週間以上続く発熱はウイルス感染以外の原因を考える必要があります。
② 熱の上下がある
朝は微熱、夜になると高熱という波が続くことがあります。感染症でもしばしば見られるパターンですが、特殊な感染症を疑うサインのこともあります。
③ 食欲不振と体重減少
長期間の発熱により食欲が落ち、体重が減る場合は身体に大きな負担がかかっている証拠です。慢性的な炎症を起こす疾患の可能性を考えます。
④ 発疹やリンパ節の腫れ
原因不明の発熱と共に発疹、首やわきのリンパ節の腫れがある場合、川崎病や膠原病、悪性疾患の可能性も考えます。
⑤ 筋肉痛・関節痛を伴う
熱に加えて関節や筋肉の痛みを訴える場合は、リウマチ系の病気や特殊な感染症も疑います。
① 一般的なウイルス感染症の遷延
アデノウイルス、RSウイルスなど一部のウイルスは1週間ほど続くことがあります。
② 細菌感染症(肺炎、尿路感染症など)
体の奥で起こる感染(肺、尿路、骨など)は長引くことがあり、画像診断や培養検査が必要です。
③ 結核など慢性感染症
結核や他の慢性菌感染症は「原因不明の発熱」として発見されることもあります。
④ 膠原病(川崎病、若年性特発性関節炎)
免疫の異常により体内で炎症が起こる病気。熱、発疹、関節痛、リンパ節腫脹などがセットで出ることがあります。
⑤ 悪性疾患(白血病など)
稀ではありますが、長引く発熱の背景に悪性腫瘍が隠れている場合もあり、しっかりとした検査が欠かせません。
① 水分と栄養を補う
熱が長引くと脱水と栄養不良になりやすいので、経口補水液や栄養補助食品を工夫して取りましょう。
② 熱でつらい場合は解熱剤を使ってあげる
発熱の原因を突き止めるためにあえて解熱剤を使わないこともありますが、本人がつらそうなときには積極的に解熱剤を使ってあげてください。
③ 安静にする
体力を消耗させないよう、なるべく安静を保ちましょう。
④ 日々の記録
体温の変動、上がる時間帯、併発症状を詳細に記録して受診時に医師に伝えると診断に役立ちます。
⑤ 家族や兄弟の感染予防
もし感染症が原因の場合に備えて、手洗い・うがい・マスクで家族内の感染拡大を防ぎましょう。
① 原因に応じた治療
細菌感染には抗菌薬、川崎病ならば免疫グロブリン製剤、膠原病にはステロイドなどの免疫抑制薬を使用します。
② 点滴や入院治療
水分摂取が難しい場合や重症例では入院して点滴治療を行います。
③ 特殊感染症の治療
結核やマイコプラズマ感染症など、特殊な感染症には専用の抗菌薬が必要です。
④ 経過観察
重篤な急性疾患が除外された場合、無理に薬を使わず経過観察で自然回復を目指すこともあります。
⑤ 専門医紹介
膠原病や腫瘍性疾患が疑われる場合は、小児リウマチ専門医や小児血液腫瘍科への紹介を行います。
Q:長引く熱で考えられる一番多い原因は?
A:もっとも多いのはウイルス感染が多いです。細菌感染や自己免疫疾患もありますので、4日以上続く場合は必ず受診をしてください。
Q:何日目で病院に行くべき?
A:発熱が3日以上続けば一度受診をお勧めします。特にぐったりしている場合は早めに受診してください。。
Q:薬を飲んでも熱が下がらないのはなぜ?
A:解熱剤は一時的には熱を下げる効果がありますが、原因が改善されていないと再度熱は上昇します。また発熱の勢いが強い場合には、解熱剤の効果を実感しにくいこともあります。ご心配な時にはぜひご相談ください。
Q:学校や保育園はいつから?
A:24時間以上平熱になっており、元気であることが条件です。インフルエンザなど、疾患によっては、お休みの期間が決まっているものもあります。