
繰り返す発熱
繰り返す発熱
「治ったと思ったらまた熱が出る…」「月に何度も発熱を繰り返す…」
このような繰り返す発熱は、多くの親御さんが不安を抱える症状の一つです。
一過性の風邪ではなく、免疫異常や特定の感染症、稀な疾患が隠れていることもあります。小児科では、単なる風邪の繰り返しなのか、原因となる病気(例:自己炎症性疾患、周期性発熱症候群、免疫不全など)なのかを見極め、総合的な診察と検査を行います。
単純な「風邪のたびの発熱」だけでなく、原因を探るべき発熱もあるため、適切なタイミングで受診・検査が大切です。
繰り返す発熱の診断には、詳細な聞き取り(問診)と精密な検査が欠かせません。
✓ 毎月のように発熱を繰り返している
✓ 発熱以外に口内炎、関節痛、発疹などが一緒に現れる
✓ 周期的(例えば毎月同じ頃)に発熱する
✓ 発熱のたびにぐったりして水分がとれない
✓ 発育不良(体重や身長の伸びが悪い)がみられる
✓ 家族にも同じような症状がある
✓ 何度も肺炎や中耳炎など重い感染症を繰り返す
① 発熱が何度も繰り返される
一度治まっても、短期間で再度発熱することを繰り返します。
② 熱の間隔が一定(周期的)
例:3週間ごとに高熱が3日間続く、などパターンがはっきりしていることもあります。
③ 発疹や口内炎を伴う
発熱のたびに同じような発疹や口内炎が出る場合は、周期性発熱症候群などの可能性があります。
④ 関節痛、腹痛
発熱とともに関節痛や腹痛を訴えることもあり、免疫系の病気が隠れていることも。
⑤ 体重増加不良、元気がない
何度も発熱を繰り返すことで成長が阻害され、体重や身長が伸びないケースもあります。
① 繰り返し風邪(ウイルス感染)
保育園や幼稚園で感染を繰り返しているケースもあります。頻繁に熱がでても、それぞれ完結していて、おおむね元気さが保たれているようなら心配ありません。頻度が高すぎると感じ場合はぜひご相談ください。
② 周期性発熱症候群(PFAPA症候群など)
周期性発熱症候群という、「周期的に」「同じようなパターン」で発熱する病気があります。扁桃炎、口内炎、リンパ節腫脹を伴うことが多いです。
③扁桃腺炎
扁桃腺が大きいお子さんでみられることがあります。あまりにも頻度が多い場合には、扁桃腺をとる手術が必要になることもあります。
④ 免疫不全症
生まれつき免疫が弱く、何度も感染症にかかるため発熱が繰り返されます。成長不良も併発する場合があります。
⑤ 悪性疾患(白血病、リンパ腫など)
稀ですが、繰り返す発熱の背景に血液の病気が潜んでいることもあり、精密検査が必要。
① 発熱記録をつける
何日おきに熱が出るか、どんな症状を伴うかを記録すると診断の助けになります。
② 水分補給と休養
発熱のたびにしっかり水分をとり、体力の回復をサポート。
③ 解熱剤は適切に使う
つらい時のみ使用し、乱用しないことが大切です。
④ 栄養バランスを意識する
日常の食事からも体力をつけていく必要があるため、しっかりとカロリーを摂り、栄養バランスにも注意が必要です。
⑤ 家族のサポートと受診タイミング
家庭で無理に様子を見るのではなく、パターンが出てきた時点で専門医へ相談しましょう。
① 周期性発熱症候群への対応(PFAPA)
ステロイド、抗ロイコトリエン拮抗剤、H2ブロッカーなどの薬や、扁桃摘出が有効なこともあります。
② 自己炎症性疾患
コルヒチンや生物学的製剤(抗IL-1抗体など)など免疫抑制薬を用いることもあります。
③ 免疫不全症
予防的な抗生剤投与や、免疫グロブリン補充療法が行われることもあります。
④ 感染症対策
繰り返す感染症が原因の場合は、感染予防と合わせた治療を行います。
⑤ 必要に応じた専門医紹介
原因疾患が特定できた場合、小児免疫、リウマチ、血液腫瘍専門医との連携治療を行います。
Q:何回くらい発熱が続いたら病院に行くべき?
A:月2回以上を目安にご相談ください。特に周期的な場合は早めの診察が重要です。
Q:ただの風邪の繰り返しとの違いは?
A:周期性、毎回似た症状、合併症(口内炎、関節痛)がある場合は風邪以外の可能性が高いです。元気で咳と鼻水が繰り返す、という場合には風邪のことがほとんどです。
Q:どこまで検査する必要がある?
A:回数や症状により、血液検査から遺伝子検査まで幅広い検査が必要な場合もあります。当院で実施が難しい検査項目については、総合病院を紹介させていただきます。