
肌荒れ
肌荒れ
「ほっぺが赤くガサガサしているけど、これって乾燥?」
「保湿してもよくならない…なにかの病気なの?」
「肌をかきこわしてしまって、血が出ている…」
赤ちゃんや子どもは、大人よりも肌が薄くてデリケートなため、少しの刺激でもすぐに肌トラブルを起こしてしまいます。
特に冬場の乾燥、汗をかきやすい季節、体調の変化やアレルギーなど、肌荒れの原因はさまざまで、「ただの乾燥」と思っていても実は治療が必要なケースもあります。
このページでは、小児科専門医の立場から、子どもの肌荒れの原因、見分け方、家庭でできるケア、治療法、受診のタイミングなどをわかりやすく解説いたします。お子さまの肌を守る参考に、ぜひお役立てください。
子どもの肌荒れは、早めのスキンケアと、必要に応じた治療によって改善することが多いですが、症状を長引かせるとかゆみや湿疹が悪化し、慢性化してしまうこともあります。
症状や原因に応じて、以下のような治療を行います:
診察では、以下の点を総合的に判断します:
✓ 保湿をしてもガサガサや赤みが治らない
✓ 夜もかゆみで寝られず、かきこわしてしまっている
✓ 湿疹がジュクジュクしていたり、黄色いかさぶたができている
✓ 季節が変わるたびに肌荒れを繰り返す
✓ 肌荒れとともに咳や鼻水、便の異常なども見られる
✓ 家族にアトピーやアレルギー体質がある
①:乾燥によるカサカサ・白い粉
冬場やエアコンなどによる乾燥が原因で、肌表面に白い粉が吹いたように見えたり、ザラザラとした触感になります。特にすね・腕・背中などに出やすいです。
②:赤みを帯びたかゆみのある湿疹
かきむしって悪化しやすく、頬や肘の内側、膝の裏などの柔らかい部分にできやすいです。アトピー性皮膚炎の症状であることもあります。
③:ジュクジュクしている
かきむしった部分に細菌感染を起こすと、滲出液が出たり、ジュクジュクした感じになります。とびひの可能性があります。
④:赤ちゃんのほっぺや口まわりのただれ
よだれやミルク、食べ物の刺激で肌が赤くただれることがあります。口の周りを拭きすぎたり、乾燥しやすい時期に起こりやすい症状です。
⑤:汗によるかぶれ(あせも)
夏場や運動後など、汗をかきやすい時期に首や脇、背中、ひざ裏などに小さなブツブツが出ることがあります。かゆみを伴う場合もあります。
①:乾燥肌
皮脂分泌が少なく、バリア機能が未熟な乳幼児は、乾燥だけで肌が荒れてしまうことがあります。空気の乾燥・摩擦なども影響します。
②:アトピー性皮膚炎
慢性的な皮膚の炎症を伴う皮膚疾患で、遺伝やアレルギー体質が関係していることが多いです。季節の変わり目、ストレス、汗などで悪化しやすい傾向があります。
③:よだれ・ミルク・食べ物の刺激
よだれや食べこぼしが皮膚についたままになっていると、刺激により皮膚炎を起こすことがあります。拭きすぎやこすりすぎも肌荒れの原因になります。
④:汗や摩擦による刺激
汗をかいたあとの放置や、衣類の縫い目・タグなどの刺激で、肌がこすれて炎症を起こすことがあります。汗をかいたあとはこまめな着替えが大切です。
⑤:化学物質・アレルゲンによる接触性皮膚炎
洗剤や柔軟剤、ボディソープ、スキンケア用品などに含まれる成分が肌に合わず、炎症を起こすことがあります。原因となったものが何なのかを把握しておくことが重要です。
①:保湿を徹底する
保湿剤を、1日2回(入浴後と朝などに)しっかりと塗ることで、肌のバリア機能をサポートします。市販薬でもかまいませんが、肌に合わない、効果があまりない、という時は相談してください。
②:石けん・ボディソープの使い方を見直す
洗浄力の強すぎる製品やゴシゴシ洗いはNGです。泡でやさしく洗い、すすぎ残しがないように丁寧に流しましょう。ネットを使い、ふんわりした泡にしておくのがポイントです。
③:室内の温度・湿度管理
冬場は加湿器を使用し、湿度40〜60%を保つよう心がけましょう。冷暖房の風が直接当たらない工夫も大切です。
④:衣類選びに気をつける
肌に直接触れる下着やパジャマがあっていないようでしたら、綿素材をためしてみてください。肌がとくに敏感な方であれば、縫い目やタグの刺激でかゆみが悪化することもあります。
⑤:こまめに汗を拭く・着替える
汗は肌荒れの大敵です。外遊びや運動後、就寝中の汗などをこまめに拭き取り、必要なら着替えをさせましょう。
Q:保湿剤はどのくらいの量を塗ればいいのですか?
A:1回の使用で「肌がしっとりテカるくらい」が目安です。1FTUという単位があり、指の第一関節分の量の軟膏で、手のひら2枚分、というのが目安です。量が少なすぎると効果が十分に得られません。
Q:ステロイドは使っても大丈夫ですか?
A:適切な部位・期間・強さを守れば安全です。症状に合わせて、可能な限り優しい薬で、できるだけ短期間に治療できるように計画します。どうしても長期に必要な場合には、ステロイド以外の軟膏も検討します。
Q:何を塗ってもよくなりません。どうしたらいい?
A:よくあるのは、塗る量が少なかったりする場合です。しっかり塗っても改善しない場合は、感染やアレルギーなどの別の要因が関与している可能性もあります。一度医師の診察を受けましょう。
Q:市販の保湿剤やベビー用ローションで十分ですか?
A:市販品をためしてもらってもOKです。改善しない場合や悪化している場合は、医療用の保湿剤や治療薬を検討する必要があります。
Q:子どもがかきむしって傷になってしまいます。どうしたらいい?
A:まずはかゆみのコントロールが大切です。爪を短く切る、ミトンを使用する、睡眠時のケアも有効です。
「肌があれる」という症状は、子どもからのSOSサインかもしれません。早めに気づいてケアを行うことで、かゆみや不快感を軽減し、健やかな肌を保つことができます。
どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。