思春期診療
思春期診療
当院では、思春期早発症と思春期遅発症に対する診療を行っています。二次性徴がいつ発現するかには個人差がありますが、目安としては男児で11歳~12歳、女児で9歳~10歳です。ここから大きくズレる場合には何かしらの疾患がみつかる場合があったり、病気でなかったとしても精神的な影響を及ぼす可能性がありますので、適切な対応が大事であり、治療が必要となる場合もあります。
思春期早発症は、通常より早く思春期の身体的な変化が始まる状態を指します。症状としては、女性では乳房の発育や月経の開始、男性では陰茎や精巣の大きさの変化や声変わりなどが早まることが挙げられます。下記のような、定義があります。
参考:
日本小児内分泌学会ホームページ
女児の場合、身体的特徴の変化がより分かりやすいことから、周囲との身体的ギャップに苦しんだり、小学校低学年での月経開始だと日常生活の困難さもでてきてしまうので、治療が必要となる場合があります。またあまりにも低年齢での思春期発来は低身長のリスクとなる場合もあります。
思春期遅発症は、他の同年代の子供たちよりも遅く思春期の身体的な変化が始まる状態を指します。何かしらの病気がかくれている可能性もありますが、体質的に遅いだけということもあります。男児では14歳頃、女児では13歳頃までに二次性徴がみられないことが思春期遅発症と考えます。
思春期の状態を評価し、治療方針を決定するために以下の検査を行います。
お子さんの思春期の経過、既往歴、家族歴、食歴、生活習慣などを聞き取ります。使用している薬剤やサプリメントが影響している場合もあります。診察では乳房や精巣など思春期の身体的な変化がどれぐらいあるのかを確認します。
血液検査を通じて、ホルモンのバランスを確認します。ホルモンのバランスが不適切であれば、病気である可能性もあるので、検査を追加したり、大きな施設へ紹介させていただいたりします。また女児で思春期が遅い場合は、ターナー症候群の可能性もありますので、染色体検査を施行する場合もあります。
手のレントゲンを用いて骨の成熟度を確認し、思春期の進行度合いを評価します。また、頭部のMRIでホルモンを出す下垂体という場所に異常がないか、脳腫瘍の一部が思春期に関係するのでそれらがないかを確認します。腹部エコーでは、卵巣や子宮の状態をチェックします。当院では画像検査は行えませんので、必要に応じて他の医療機関に依頼させていただきます。
問診・検査の結果から、特に問題ないと判断できたら、思春期の状況をしばらく見守っていきます。治療が必要な場合は個々に施行します。
思春期の進行が早すぎると周囲との身体的ギャップに苦しんだり、あまりにも低年齢での思春期発来は低身長のリスクになりますので、適応となる場合には治療を開始します。月に1回の注射による通院治療で、思春期の進行に一旦ブレーキをかけます。過度に長期の治療を行うとデメリットもありますので、いつまで治療する必要があるのかも個々の患者さんに応じて考えていきます。外来では治療のリスク・ベネフィットについて説明させていただきます。
状態に応じ、男性ホルモン、女性ホルモンの補充などを考慮します。成人に近い年齢での治療になることが多く、長期の治療が必要であれば、成人科(婦人科、泌尿器科、内分泌内科)など紹介させていただく場合もあります。