マイコプラズマ肺炎の薬の苦み対策:知っておきたいポイント
玉谷キッズクリニックの菅原です。最近、マイコプラズマ肺炎が流行していますが、治療の中心となるのが抗生剤です。しかし、マイコプラズマに対応した最もスタンダードな抗生剤であるクラリスロマイシンの系統にはあるデメリットがあります・・・。それは、とっても苦いことです
今回は、この苦い薬をどうやって飲めばいいのか、わかりやすくお伝えしていきます。
1. なぜこんなに苦いの?
まず、なぜこの薬が苦いのか、その理由から見ていきましょう。
- マイコプラズマ肺炎の治療には「マクロライド系抗菌薬」という種類の薬が使われます。
- 代表的な薬は「クラリスロマイシン(薬剤名:クラリス)」や「アジスロマイシン(薬剤名:ジスロマック)」。
- これらの薬には「ラクトン環」という構造があり、これが苦みの原因です。
- 実は、この構造が細菌をやっつける力の源でもあるんです。
つまり、効き目と苦みがセットになっているわけですね。
2. 子供はより苦く感じる
ここで問題なのが、子供は大人よりも苦味に敏感だということ。
食材でも、ちょっと苦味があったりするだけでも、食べなかったりします。それだけ敏感ということが言えます。
野菜ならピーマンとかが代表的ですね。僕はピーマン好きですよ。
もともと苦いこともあいまって、子どもにとってはよりハードルが高い薬ということになります。
3. 薬の工夫:コーティング
ただ、薬を作る会社も、この苦さをなんとかしようと頑張っています。
- 薬の粒子を特殊な物質でコーティング
- 舌に直接触れないようにする工夫
- 胃に届いてから溶けるように設計
などと工夫してくれているので、ある程度苦味は緩和されているんです。
4. 気をつけたい飲み物
ただし、せっかくのコーティングも、一緒に飲むものによっては台無しになってしまうことがあります。避けた方がいい飲み物をご紹介します:
- オレンジジュースなどの柑橘系ジュース
- スポーツドリンク
- 乳酸菌飲料
- ヨーグルト
これらは酸性度が高いので、コーティングを溶かしてしまい、苦味が増強する可能性があります。
5. おすすめの飲み物
逆に、こんな飲み物と一緒に飲むと苦みを感じにくくなります:
- 牛乳
- プリン
- 練乳
- アイスクリーム(特にチョコレート味)
- ココア
これらは酸性度が低いので、コーティングを守ってくれます。
特に、おすすめなのは、チョコレートアイス。チョコそのものが味が濃いことから、お薬の苦い味が紛れます。
6. 飲むタイミングが大切
薬を飲む時は、飲み物と混ぜるタイミングも重要です。
- 飲む直前に混ぜるのがベスト
- 長時間置いておくとコーティングが溶けやすくなる
せっかくの製薬会社さんの苦労を生かすためにも、飲む時にサッと対応するのがコツです。
7. 実は注意したい併用薬:カルボシステイン
味、という点で注意したい内服薬があります。
それは「カルボシステイン」(製剤名:ムコダイン)。
カゼ症状で受診したら100%の近い確率で処方される鉄板のお薬です。
ただし、カルボシステイン自体が酸性であることから、一緒に飲むとクラリスロマイシンなどのコーティーングをはがしてしまい、苦くなってしまうんです。
薬の効果が変わるわけではないので、一緒に飲んでもダメなわけではなりませんが、分けて飲むことがオススメです。
8.まとめ
マイコプラズマ感染症の薬は確かに苦いですが、工夫次第で飲みやすくなります。
子供さんが薬を嫌がる時は、ここで紹介した方法を試してみてください。
それでもどうしても飲めない場合は、内服薬の変更も含めて相談させていただきます。
お困りの時は、ぜひお気軽にご相談ください。