子どもの花粉症のお薬はどうやって選んでいるの?ポイントは剤型・効果・副作用
春や秋の季節の変わり目になると、くしゃみや鼻水、目のかゆみでつらそうにしているお子さんを見かけることが増えます。これは「花粉症」の症状かもしれません。花粉症はアレルギー反応の一つであり、適切な治療を行うことで症状を和らげることができます。
実際、ここ2週間ぐらいは、くしゃみ、鼻水、目のかゆみで受診される方が激増しましたので、まさに花粉症シーズンです。
では、子どもが花粉症になったとき、どのようにお薬を選べばよいのでしょうか?処方する立場から、どういったところを考えて処方しているのかを解説します。
花粉症の治療の中心は抗ヒスタミン剤の内服薬
花粉症の治療の基本は「抗ヒスタミン剤」の内服です。抗ヒスタミン剤は、花粉によって体内で放出されるヒスタミンという物質の働きを抑え、アレルギー症状を和らげる効果があります。
近年の抗ヒスタミン剤は、眠気が少なく、日常生活に支障をきたしにくいタイプが主流となっています。また、子ども向けの薬は安全性が高く、小さいお子さんでも服用できるように工夫されています。
花粉症の内服薬を選ぶポイント
剤型の違い(シロップ、粉、錠剤)
子どもの年齢や飲みやすさに合わせて、薬の形(剤型)を選びます。
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シロップ:飲みやすく、小さな子ども向け。
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粉薬(散剤):ジュースやヨーグルトに混ぜられるので、飲める子どもには便利。
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錠剤:小学校高学年になると飲める子も増える。
小さいお子さんだと、シロップか粉薬になります。シロップの方が好きというお子さんが多い印象ですが、持ち運びたいときや、長期に保管したい場合には粉薬の方が便利です。
大きくなると錠剤も選択肢になり、錠剤がもっとも保管や持ち運びなど管理がしやすいです。
内服回数(1回か2回か)
花粉症の薬には、1日1回で済むものと、朝晩2回服用するものがあります。
お子さんの生活リズムや、服薬のしやすさを考慮して選ぶことが大切です。
おおむね、小さいお子さんが服用するお薬は1日2回のものが多く、成人に近い場合は1日1回で済むものが多くなります。
1日1回でも24時間効くので、基本的には1日1回でも2回でも効果は同じと思っておけばOKなので、できたら1日1回の方が便利です。しかし、中には相性の問題なのか、1日2回のほうが効果がある、という方もあるので、どちらのタイプにするのかは相談させていただいています。
副作用
抗ヒスタミン剤の副作用として、眠気や口の渇きが挙げられます。ただし、第二世代の抗ヒスタミン剤は眠気が出にくいものが多いため、学校生活や仕事に影響が少なくなっています。
「副作用が強いほうが、効果も高い」と思っている方がありますが、必ずしもそうではありません。最近のお薬は、「効果も高く、副作用も少ない」ものも増えてきます。
しかし、副作用が強く出るようであれば、お薬を変える方がよいので、遠慮なくご相談ください。
効果(その人に合っているか)
同じ花粉症でも、薬の効き方には個人差があります。ある薬ではあまり効果を感じられない場合でも、別の薬に変えることで改善することがあります。相談しながら、お子さんに合ったものを見つけることが大切です。
しかし、内服薬をかえていっても、あまり改善がみられない場合は、下記のような対策が必要です。
抗ヒスタミン剤内服で効果が薄い場合
抗ヒスタミン剤だけでは症状が十分に抑えられない場合、以下のような補助的な治療法を組み合わせることもあります。
点眼液
目のかゆみがひどい場合は、抗アレルギー作用のある点眼薬を使用すると効果的です。目薬が苦手な方でしたら、目の周囲にぬることで、眼球のかゆみにも効く軟膏もでてきていますので、ご相談ください。
点鼻液
鼻づまりや鼻水がひどい場合は、鼻に直接噴霧するステロイド点鼻薬があります。鼻症状がつよく飲み薬で追いつかないような症状が強いときに便利です。
漢方
子どもの体質や症状に合わせて、漢方薬を使うこともあります。くしゃみやさらさらの鼻水が多い時には「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」を当院ではよく処方します。
さらに一歩進んだ治療
舌下免疫療法
根本的な治療を目指す場合、「舌下免疫療法」が選択肢になります。これは、アレルギーの原因となる花粉エキスを少量ずつ舌の下に投与し、体を慣らしていく治療法です。
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対象年齢:5歳以上
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治療期間:3〜5年ほど
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効果:約70〜80%の人が症状の改善を実感(日本アレルギー学会報告)
長期的な治療ですが、花粉症を根本から治せる可能性があります。しかし、最近は薬剤の不足のため、新規で始めることが難しい状況で順番待ちをさせていただいています。希望の方は、診察のときにおっしゃっていただければ、順番待ちリストにいれていきますので、ご相談ください。
抗体療法
「抗IgE抗体療法」という治療法もあります。これは、花粉症の原因となるIgE抗体の働きを抑える薬を注射する方法です。
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適応:12歳以上の重症の花粉症患者
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投与方法:2〜4週間に1回の注射
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効果:症状が大幅に軽減されることが多い
重症の場合、通常の薬では十分な効果が得られないこともあります。その際に選択肢となる治療法です。花粉症シーズンの前から準備が必要です。事前に血液検査をシーズン前に行い、どれぐらいの抗体があるのかを確認し、投与量を決めていきます。高額な治療でもあるため、通常の内服薬、点眼薬、点鼻薬でも効果がない、重症の方が対象となります。
まとめ
子どもの花粉症治療には、さまざまなお薬や治療法があります。
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基本は抗ヒスタミン剤の内服薬。お子さんに合った剤型や種類を選んでいきましょう。
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効果が薄い場合は点眼液や点鼻液を追加。必要に応じて漢方薬も活用できます。
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舌下免疫療法や抗体療法も検討。長期的に花粉症を軽減できる可能性があります。
お子さんに合った治療を見つけるために、ぜひ相談ください。