「プール熱(咽頭結膜熱)」が今年も流行の気配をみせています
- 2025年6月24日
- 感染症
「プール熱(咽頭結膜熱)」が今年も流行しはじめた!!?
こんにちは、玉谷キッズクリニックの菅原です。
夏の感染症の定番である「手足口病」「ヘルパンギーナ」「プール熱」は「夏の三大感染症」として知られていますが、2025年6月ごろから、プール熱の原因となるアデノウイルスがちらほら見られるようになりました。まだ、大流行というレベルでは全然ありませんが、本格的な夏も近づいているので、注意したいところです。
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三重県では2025年第23週(6/2〜6/8)における定点当たり患者数が“0.84人”と、まだまだ多いとは言えないものの夏に向けて増加傾向がみられているという記事がありました。
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NHKのサイトでは、現在の増加状況などが確認できるようになっています。https://www3.nhk.or.jp/news/special/infection/dashboard/pool.html
ブログ執筆時点では、ジワジワ増えているのが分かります。
特に「昨今ではシーズンに関係なく1年を通じて見られる」という指摘もあり、プール熱への警戒は例年前倒しどころか、通年対応を考える必要があるかもしれません。
プール熱とは?
原因
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アデノウイルスによる感染症。咽頭結膜熱はそのひとつで、「プール熱」と呼ばれるのはプールを介して広がったことからつけられています。(ただし、プール以外でも感染は広がります)
感染経路
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飛沫感染、接触感染(水・タオル・玩具・プールの水など)。夏に限らず、保育園・学校などで集団感染を起こすケースもみられます。
潜伏期と症状
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潜伏:5〜7日程度
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主な症状:
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突発的な高熱(38〜40℃が5日程度続く)
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咽頭痛、扁桃腺の腫れ、嚥下痛
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白目(結膜)充血、目やに、眼痛、羞明
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頭痛・倦怠感・食欲低下
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ざっくりまとめると「目が赤くなって、のども痛くなり、熱が5日ほど長引く感染症」がプール熱です。
診療のポイント
1. 診断のヒント
「高熱 + のど痛 + 結膜炎(白目の充血・目やに)」が3点セット。これらがそろえばプール熱を疑います。
2. 検査
咽頭ぬぐい液や目やにの抗原検査で、アデノウイルスの型診断が可能です。当院でも迅速検査キットを常備していますので、10~15分ほどで結果がでます。
3. 治療
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対症療法が基本:解熱薬(アセトアミノフェンなど)、風邪症状に対しての飲み薬など
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保湿・安静・水分補給:熱が長引くので脱水に注意
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二次感染対策:熱が長引きぐったり感が強くなっていく場合は細菌感染の合併を考える必要があります。
4. 登園登校の目安
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流水+石鹸でしっかり手洗いが必要です。アデノウイルスにはアルコールがあまり効きません。
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タオル・洗面用具は共有をさけてください。家庭内でもタオルは別々に。
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学校保健法では「主要症状がなくなってから2日間経過後」に登園・登校がOKと規定されています 。
家庭でできるケア&予防法
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手洗い・うがい – 石鹸と流水が基本。アデノウイルスにはアルコールがあまり効きません。
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タオル・お箸などの共有はさけてください
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玩具・備品の定期消毒
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栄養・睡眠の十分な確保 – 抵抗力をつけていきましょう 。
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感染者との接触を避ける
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咳エチケットとマスク着用を
これってプール熱かも?と思ったら
目が真っ赤になったり、熱が長引いている時は、アデノウイルスに感染して、プール熱を発症しているかもしれません。まわりにうつす可能性が高い感染症なので、受診をしていただき、検査を受けていただくことがおすすめです。
症状が軽く、プール熱かどうかよくわからない、といった場合も、検査が必要かどうかのご相談もできます。
悩まれた時には、お気軽にご相談ください。
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