急性腸炎の原因と治療のコツ|玉谷キッズクリニック【箕面市船場西の小児科】

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急性腸炎の原因と治療のコツ|玉谷キッズクリニック【箕面市船場西の小児科】

急性腸炎の原因と治療のコツ

最近、吐いて、下痢をしている、というお子さんが多く受診されています。2月ぐらいまではインフルエンザが猛威をふるっていましたが、インフルエンザが少なくなってきたなかで、腸炎のお子さんが増えてきている印象です。

 

急性腸炎とは?

急性腸炎は、腸に炎症がおきることによって、嘔吐や腹痛、下痢といった症状を起こす病気です。ウイルスの感染による腸炎のことがほとんどで、頻回の嘔吐から、ぐったりし脱水に至ることがあります。腸炎の具体的な症状や、原因、そして家庭でできる対処法、病院受診の目安について解説します。

 

 

 

急性腸炎の症状は?

急性腸炎の症状は嘔吐と下痢です。腹痛がおきることもしばしばです。下痢は軟便から水様下痢と幅があり、時に血便となることがあります。お子さんの年齢や健康状態、さらには感染の原因によっても症状の程度は異なりますが、一般的には急に吐いたり下痢をしだしたり、ということが多いです。発熱はある時もあれば、ない時もあるので、熱の有無で腸炎かどうかの判断は困難です。嘔気にともなう気分不良から、ぐったりすることも多いです。

 

 

 

急性腸炎の原因

ウイルス性

急性腸炎の原因として、ウイルスによるものがほとんどです。ウイルス性腸炎で一番有名なのはノロウイルスで、他にはロタウイルスやアデノウイルスが挙げられます。健康な成人がかかってもかなりつらい症状になりますが、特に子供や高齢者に感染を起こすと重篤化することがあります。ウイルス性腸炎は接触感染により伝播するので、ウイルスに汚染された食品や水を摂取してしまったり、感染者からでた吐物や便にふれたのちに手を十分洗えてなかった、といったことで起こります。腸炎の原因ウイルスは非常に感染力が強く、保育園や幼稚園、学校など、集団生活をしている場所でのアウトブレイクがしばしば報告されています。

 

 

細菌性

細菌性腸炎は、いわゆる食中毒として発症することが一般的です。原因としては、カンピロバクター(鶏肉)、サルモネラ(卵や肉類、時にペットから)、O-157などの大腸菌などが挙げられます。これらの細菌は主に、調理が不十分な肉製品、汚染された飲料水、不適切な保管状態の食品を介して感染します。細菌性腸炎は、ウイルス性と比べると強い腹痛をおこしやすく、血便が起きることもあります。

 

 

腸炎のほとんどは感染性腸炎

よく、「今回の腸炎はうつりますか?うつりませんか?」と質問されますが、急性腸炎のほとんどは感染性の原因によるものです。感染者の便中にウイルスが大量にいることから、手洗いなど気を付けていても、家族全員うつりました、ということも、よくあります。

 

 

感染をひろげないためにできること

石ケンでの手洗いがベストです。腸炎の原因となるウイルスはほとんどがアルコールが効きません。また接触感染をふせぐために、タオルを共有しないとか、発症した人用にペーパータオルを準備しておくとか、使用前後のトイレはドアノブもふくめて次亜塩素酸ナトリウムで消毒する、といった対策が大事になってきます。

 

 

急性腸炎の治療

水分・塩分・糖分補給

腸炎を発症したあと、水分や塩分、糖分の補給は脱水や低血糖を防ぐためには非常に大事です。しかし、何度も吐いてぐったりしている子に水分を飲ませるのは、非常に難しいという現実もあります。

 

 

水分補給のコツと注意点

腸炎を発症していても、お子さんは一気に飲みたがることもありますが、コップ1杯の水分でも、飲むと胃がびっくりしてすぐに吐いてしまいます。効果的な水分補給のためには、お子さんが吐き気を感じにくいように、少量ずつ頻繁に水分を摂取することが推奨されます。具体的には1回あたり小さじ1杯(5ml)です。「え?そんなにちょっとで大丈夫?」と思われるかもしれませんが、そもそも吐いてしまうと、胃液の水分さえも減ってしまいますし、嘔吐そのもので体力も落ちてしまいます。小さじ1杯でも1~2分ごとに飲めば1時間でコップ1杯ぐらいの量になります。

実際は1時間ずっと1~2分ごとに飲むことは、面倒でできませんが、数分おきに小さじ1杯でも十分効果が期待できます。

 

 

水分として何を摂取すればよいか?

飲むものとして一番オススメなものは経口補水液です。有名なのはOS-1(オーエスワン)というもので、治療に最適な塩分、糖分バランスになっています。、、、ですが個人的には味が好きではありません。甘味をぐっとおさえた塩っぽいスポーツドリンクな感じです。自分が嘔吐症状あるときに経口補水液を飲んで、味のせいで吐いてしまったことがあります。そんなときにオススメなのはOS-1のアップル味(←Amazonページが表示されます。ドラッグストアで買ったほうが安いので、どうしても家から出れない人以外は、商品の確認をしていただき、ドラッグストアなどでお求めください。)です。こちらはけっこうおいしいので、一度ためしてください。

 

 

それでも吐いてしまう時は点滴

口からの水分摂取が不可能、または極度の脱水症状に陥った場合は、点滴による水分と塩分の補給が必要となります。点滴と経口補水液の治療効果は差がない一方、点滴は針痛みもありますし、まれに点滴液が血管から漏れて腕がパンパンに腫れることもあったり、そもそも腸炎の時の点滴は難しい、という点があるため、まずは経口補水液での脱水補正がおすすめです。

 

 

整腸剤は飲んだ方が早く下痢が治る可能性がある

腸炎の状態というのは、イメージとしては悪玉菌がいっぱい腸内にいるような状態です。善玉菌のかたまりである整腸剤を内服することで下痢の期間短縮が期待されます。しかし、何度も吐いているときに無理に整腸剤を飲ませる必要はありません。大事な順番としては、まずは安静、つぎに水分補給、最後に整腸剤の内服です

 

 

 

吐き気止めの薬も選択肢になる

吐き気止めのお薬も存在します。抜群に効く、とは言い難く、論文的背景も十分というわけではないのですが、一定の方々には効果があります。内服のシロップ、錠剤の他、飲めない人には坐薬での吐き気止めのお薬もありますので、症状に応じて処方させていただいています。

 

 

病院受診の目安は?

吐いても、すぐ元気になるようでしたら受診はすぐに必要ありませんが、

「気持ち悪さが続いている」「このまま様子をみていていいのか不安」「脱水かどうか不安」「薬もないし、どう対処していいのか分からない」こういった時には受診していただけたらと思います。

 

 

急性腸炎で入院が必要なとき

入院が必要になるケースは、症状が重く、自宅でのケアでは十分な対応ができない場合です。重度の脱水でおきあがったりができず、そもそも水分摂取ができない状態、まる1日以上嘔吐がおさまっていない状態、などが入院適応になってきます。または血便や持続する激しい腹痛などは、重症な腸炎の他、腸重積や急性虫垂炎(いわゆる盲腸)など、別の病気も考える必要があるため、総合病院で精査してもらう必要もでてきます。

 

 

どうしたらいいんだろう?とお悩みの時は受診してください

小児科クリニックでは、お子さんの症状や心配事について、ご相談いただけます。「1~2回吐いただけだけど、顔色も悪いしどうしたらいいんだろう?」「元気な気もするけど、下痢が続いているし不安だな」など、ささいなことでもご相談ください。様子をみているだけでいいのか、お薬が必要なのか、それとも大きな病院を受診してもらったほうがいいのか、などについて相談させていただきます。ご遠慮なくご相談ください。