溶連菌と手足口病、似てるけど違う!どう見分ける?
症状が似ている疾患を見分けることは非常に重要です。典型的な症状がそろうと、診断は簡単になりますが、症状がそろわない時は、似た症状の疾患の区別は難しくなります。今回は、溶連菌感染症と手足口病の似ている点をもとに、それぞれの症状と違いについて解説していきます。
溶連菌の症状
溶連菌感染症は、急な発熱と強い喉の痛みを特徴とします。発症すると、子供たちは38℃以上の高熱になり、喉が真っ赤になり、扁桃腺に白い膿がみられることもあります。たまに、吐き気、腹痛といったお腹の症状が出る人もいます。発疹もまれにでますが、蕁麻疹か、点々とした発疹のことが多いです。
手足口病の症状
手足口病は、口内に痛みを伴う水疱や口内炎、手のひらや足の裏にぷつぷつした発疹がでることが特徴です。流行するウイルスの型によっては、お尻や口回りに、腕や足全体にも発疹が出現することもあります。発熱は溶連菌感染症ほど高くないことが多いですが、喉の痛みのため、食欲が落ち込む子もいます。
溶連菌と手足口病の似ている症状
両疾患ともに発熱と喉の痛みが初期症状として現れるため、初診時には区別が難しい場合があります。喉の所見も、溶連菌のほうが赤い印象がありますが、ともに赤くなることから、発症初期で他の症状が出ていない時には見分けることが困難になることがあります。
溶連菌と手足口病の違うところ
のどの所見に違いがでてきます。溶連菌感染症の場合、のどを見たときに扁桃腺に膿がついていることがあり、一方、手足口病では、のどの奥に水疱や口内炎が出現してきます。手や足に発疹がでてきますが、溶連菌の場合は点状の発疹や蕁麻疹として出現しますが、手足口病は中がクリーム色っぽい感じの水疱が手足を中心に出現します。十分、症状があらわれる時期になれば、区別はつきやすくなります。
発症日には熱とノドの赤さだけだと、溶連菌と手足口病は区別しにくい
発病初日には、高熱と喉の赤さのみが見られることが多く、これだけでは両疾患を区別することは難しいです。この時点での正確な診断は困難であるため、症状の進行を見守ることが重要です。まわりで流行しているのはどちらか、ということも診断のポイントになりますが、両方流行している場合には、さらに判断が難しくなります。
1日様子をみてから、検査をするか判断することもある
症状が出始めた初日は、症状が完全に現れていないこともあります。そのため、1日〜2日経ってから追加の症状が出るかどうかを見極めた上で、必要に応じて溶連菌の検査を行うことがあります。手足口病は特有の検査はなく、症状で診断をします。
特に、溶連菌感染症はほおっておくと自然に熱は下がることがあるものの、発症1ヶ月後ぐらいに腎臓に影響して、腎炎を発症し尿の色がコーラのようになります。そうなると入院治療が必要になってくるので、溶連菌はできるだけ見逃したくないものです。
このように、溶連菌感染症と手足口病は初期段階では区別が難しいことがありますが、症状の進展に注意深く観察することで、適切な診断と治療を行うことが可能です。何か気になる症状があれば、早めにご相談ください。