【小児科医師解説】ヒトメタニューモウイルス感染症の症状・予防・治療法
- 2025年1月21日
- ヒトメタニューモウイルス,感染症
こんにちは、玉谷キッズクリニックの菅原です。まだまだ寒い季節が続き、インフルエンザをはじめとする呼吸器感染症が流行しています。。最近、中国での大規模な流行が報告されている「ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPV感染症)」について、心配されている方もおられるようですので、ご紹介させていただきます。
ヒトメタニューモウイルスとは?症状や特徴を解説
「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)」という名前は初めて聞く方も多いのではないでしょうか?実は2001年にオランダで発見されましたが、その後の研究で数十年前から私たちの周りに存在していたことがわかっています。日本でも毎年春先に流行する、いわゆる「かぜ」の原因となるウイルスの一つなのです。
ヒトメタニューモウイルス感染症の主な症状
子どもが感染すると、以下のような症状が現れます:
– 38度以上の発熱(5日程度続くことも)
– せき
– 鼻水が多い、鼻づまり
– ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)
最初は普通の風邪のような症状で始まることが多いのですが、熱が長引いたり、場合によっては肺炎に進展することもあります。特に乳幼児や高齢者は注意が必要です。
感染経路と潜伏期間
– 感染した人の咳やくしゃみのしぶき(飛沫感染)
– 鼻水などの体液との接触(接触感染)
– 潜伏期間は2~5日
一般的なカゼウイルスやインフルエンザ、コロナと同様で、飛沫感染が主体です。
つまり、感染した人からの咳やくしゃみがもっとも注意しないといけないので、特に感染してしまった人はマスクを着用の必要があります。
効果的な予防対策
普段から行っているインフルエンザやコロナウイルスの予防と同じように、以下の対策を心がけましょう:
1. こまめな手洗い・手指消毒を行う
2. マスクをきちんと着用する
3. 人が多く集まる場所は避ける
4. 十分な睡眠と栄養バランスの良い食事を心がける
ヒトメタニューモウイルス感染症の治療法
現在のところ特効薬はありませんが、ご心配なさらないでください。症状に合わせて解熱剤や咳止めなどのお薬で対応し、多くの場合1週間程度で自然に良くなっていきます。
お薬をつかっていても5日ほどは悪化していくことがしばしばですので、注意深く経過をみることは大事です。
ヒトメタニューモウイルスはどうやって診断するの?
インフルエンザと同様に、鼻の奥に棒をいれる検査で診断することが可能です。
ただし、インフルエンザのように治療法が変わるわけではないので、子どもの検査の負担を考えて、あえて検査をしないという選択をすることもあります。
検査時間自体は15分ほどです。
小児科の受診が必要な症状とは
以下のような症状がみられたら、はやめに小児科への受診をご検討ください:
– 38.5度以上の熱が続く
– ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が聞こえる
– 呼吸が速くなっている、苦しそう
– 食事や水分が取れない
– 機嫌が悪く、ぐったりしている
– 顔色が悪い、唇が紫色になっている
ヒトメタニューモウイルスは、ときに肺炎や喘息に近い状況をひきおこします。あまりにも熱が長引いてゼーゼーしたり、呼吸が苦しい時には急いで受診してください。
また、呼吸に影響がなくても、熱がつづくとぐったりして食事がとれなくなることで脱水になっている可能性もあります。ぐったり感が強く、顔色が悪い時も急いで受診した方がよい目安です。
まとめ:ヒトメタニューモウイルス感染症の対策のポイント
このウイルスは決して新しいものではありませんが、感染すると「長引くひどいかぜ」のような状態になることがあります。軽症の場合はご家庭での経過観察で大丈夫ですが、心配な症状がある場合はためらわずに受診してください。
感染対策はコロナ大流行で経験したことを基本にして実践していくことです。すなわち、手洗い、マスク、リスクがある人混みは避ける、です。
これからの季節、流行する可能性が高まりますので、ご家族皆様での予防対策をお願いいたします。ご不安なことがありましたら、いつでもご相談ください。