RSウイルスとヒトメタニューモウイルスの違いと症状|重症化のサインと受診の目安|玉谷キッズクリニック【箕面市船場西の小児科】

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RSウイルスとヒトメタニューモウイルスの違いと症状|重症化のサインと受診の目安|玉谷キッズクリニック【箕面市船場西の小児科】

RSウイルスとヒトメタニューモウイルスの違いと症状|重症化のサインと受診の目安

RSウイルスが大流行…とまではいきませんが、咳と鼻水がひどい小さいお子さんでちらほら陽性がでているRSウイルス(アールエスウイルス)。

そして、先日、ブログも更新させていただいた、日本で大きな流行が心配されているヒトメタニューモウイルス。

 

お子さまが発熱や咳で体調を崩されると、お母さん、お父さん方は心配になられると思います。小さいお子さんがかかりやすい「RSウイルス(RSV)」「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)」は、よく似た症状を引き起こします。

2つのウイルスの違いや症状、重症化のサイン、受診の目安について、説明します。

 

 

「RSウイルス」と「ヒトメタニューモウイルス」

RSウイルス(RSV)とは

RSウイルスは、特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんで重症化しやすい呼吸器ウイルスです。

毎年9月から12月にかけて流行のピークを迎える、冬のウイルスのイメージです。ただし、ここ数年はあまり季節性関係なく、夏や春に流行することもあったので、1年中注意が必要になってしまいました。

 

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)とは

ヒトメタニューモウイルスは、主に2歳未満の幼児に感染しやすい呼吸器ウイルスです。

1月から5月にかけての初春に流行することが多く、RSウイルスと比べるとやや穏やかな経過をたどりますが、通常のカゼと比べると熱や咳・鼻水が長引きひどいことは多いです。

 

 

RSとヒトメタニューモウイルスの「同じところ」

 

まず、両方のウイルスの共通点をご説明します:

1. 主な症状

– 5日ほど続く高熱
– 咳
– 鼻水
– 喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーという音)
– 食欲の低下

2. 感染経路

– 感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染
– ウイルスが付着したものを触った後、口や鼻を触ることによる接触感染

3. 治療方法

– 特効薬はなく、対症療法が中心
– 十分な休息と水分補給が重要
– 症状に応じて解熱剤を使用

 

 

通常のカゼと共通していることも多いですが、普通のカゼと比べRSウイルスやヒトメタニューモウイルスでは、ゼーゼー・ヒューヒューすることがしばしばあり、また熱も5日前後続くことが多いので、「かなりひどいカゼ」言えます。

 

 

RSとヒトメタニューモウイルスの「違うところ」

 

次に、両者の重要な違いについてご説明します:

1. 流行する時期

– RSウイルス:主に秋から冬(9月~12月がピーク)
– ヒトメタニューモウイルス:主に冬から春(1月~5月がピーク)

 

2. 感染力の強さ

– RSウイルス:感染力が非常に強い(特に集団保育の場での感染リスクが高い)
– ヒトメタニューモウイルス:RSウイルスと比べると感染力はやや弱い

コロナウイルスやインフルエンザウイルスほどではありませんが、どちらも集団生活の場で感染が広がりやすいです。流後期には注意する必要があります。

 

 

3. 重症化しやすい年齢

– RSウイルス:生後6ヶ月未満の赤ちゃんで特に重症化リスクが高い
– ヒトメタニューモウイルス:2歳未満の幼児で重症化リスクが高い(ただしRSウイルスほどではない)

どちらのウイルスも小さい時に1回は必ずかかるものですが、はじめて感染するときにひどくなりやすいです。4歳、5歳でもひどくなる子はいますが、だいたい小さい子の方が重症化します。

 

 

4. 予防薬の有無

– RSウイルス:重症化リスクの高い赤ちゃん向けの予防薬(パリビズマブ)がある
– ヒトメタニューモウイルス:特別な予防薬はない

RSウイルスの予防薬(パリビスマブ:商品名シナジス)は、未熟児で生まれた子や、心臓の病気がある子が対象になりますので、ひろく一般的に接種されているものではありません。

対象になるようなお子さんがRSウイルスにかかると呼吸が止まってしまうことがあるなど、重症化リスクが非常に高いので接種する必要があります。

 

 

受診の目安

両ウイルスとも、以下の症状がある場合は早めの受診をお勧めします:

特に急いで受診が必要な場合

– 呼吸が速く、苦しそう
– ぐったりして元気がない
– 顔色が悪い
– 水分摂取ができない

 

年齢による受診の目安

– 生後3ヶ月未満:37.5度以上の発熱
– 3ヶ月~2歳:38度以上の発熱が24時間以上続く
– 2歳以上:38度以上の発熱が2日以上続く

熱の目安は大まかなものですが、早めに異常を感知するためにいったん受診したほうがよいのでは、という目安で記載しました。

 

予防方法

どちらのウイルスも、以下の対策が有効です:

1. こまめな手洗い・手指消毒(特に外出後、食事前)
2. マスクの着用
3. 適切な湿度管理(50%ほど)
4. 定期的な換気
5. 十分な睡眠と栄養バランスの良い食事
6. 流行期は人混みを避ける

特に、RSウイルスについては、生後6ヶ月未満の赤ちゃんがいるご家庭では、上記の予防対策をより慎重に行うことをお勧めします。

 

まとめ

ヒトメタニューモウイルスとRSウイルスは、多くの共通点がありますが、以下の点で大きく異なります:

1. RSウイルスの方が、乳児での重症化リスクが特に高い
2. 流行時期が異なる(RSは秋冬、ヒトメタは初春)。しかし、最近は季節性がなくなってきている
3. 基礎疾患のある子を対象にしたRSウイルスの予防薬がある

 

心配な症状がある場合は、遠慮なく医療機関にご相談ください。

 

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