いま流行している「リンゴ病(伝染性紅斑)」ってどんな病気?出席停止なの?
- 2025年6月10日
- 感染症
こんにちは、玉谷キッズクリニックの菅原です。
今回は、お子さんに増えている「リンゴ病」についてお話しします。リンゴ病は、ほっぺたが赤くなることからその名前がついていますが、正式には「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」といいます。
ウイルス感染による病気ですが、基本的には軽いカゼのようなもので、特別な治療は必要ありません。安心して見守っていただける病気です。
リンゴ病の原因と感染経路
リンゴ病は「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスが原因です。飛沫感染(せきやくしゃみなど)で広がります。幼児から小学生までのお子さんに多い病気です。
感染から症状が出るまでの潜伏期間は、おおよそ2週間ほどです。
リンゴ病はどんな症状がでるの?
はじめは、カゼのような症状が出ます。微熱やだるさ、頭痛などがあり、ふつうの風邪と区別ができません。お母さんも「ちょっと疲れてるのかな?」と様子を見ているうちに、だいたい1週間くらい経つと、ほっぺたが赤くなる発疹が現れます。
さらに、腕や太ももにまだらな赤い発疹(レース状皮疹)が出ることもあります。まれにお腹や背中にもでます。これらの発疹は、かゆみが出る場合もありますが、強いかゆみのことは少なく、数日から1週間程度で自然に治まります。
リンゴ病の発疹が出たころにはもう感染力はないんです
「発疹が出てから病院に行って、初めてリンゴ病と診断されました。ほかの子にうつらないか心配です…」というお母さんの声をよく聞きます。
ご安心ください。実は、リンゴ病は発疹が出るころにはもう感染力がなくなっています。うつりやすいのは発疹が出る前の「カゼ症状」の時期なのです。発疹が出た後は、保育園や学校への登園・登校も問題ありません。
リンゴ病の治療はどうするの?
リンゴ病は自然に治る病気ですので、特別な治療は必要ありません。お子さんの体調を整えるために、しっかり休養をとって水分をしっかりとりましょう。かゆみが強いときには、かゆみ止めのお薬を使うことがありますが、ほとんどの場合は自然に治ります。
気をつけたいのは妊婦さんと特殊な血液の病気を持つお子さん
基本的に心配はいりませんが、例外的に注意が必要なケースもあります。
・妊婦さんの場合
妊娠中の女性がリンゴ病にかかると、まれにお腹の赤ちゃんに影響することがあります。とくに妊娠初期〜中期に感染すると、胎児水腫(赤ちゃんのむくみ)を引き起こすリスクがあります。妊婦さんで、リンゴ病の子と接触した可能性がある場合には、かかりつけの産婦人科の医師に相談するようにしましょう。
・遺伝性球状赤血球症や鎌状赤血球症などの血液の病気を持つお子さん
これらの病気があると、リンゴ病のウイルスに感染したときに、貧血が急に悪化することがあります。かかりつけの小児科や専門の先生に相談していただくと安心です。
リンゴ病についてのまとめ
リンゴ病は、赤いほっぺたの発疹が出るころにはもううつる心配はなく、ほとんどのお子さんが自然に治ります。お母さんは「大丈夫かな?」と心配になるかもしれませんが、基本的には風邪の一種だと考えていただいて大丈夫です。
ただし、妊娠中の女性や、遺伝性の赤血球の病気があるお子さんの場合は、かかりつけ医に一度ご相談くださいね。
ほっぺたが赤くなってリンゴ病かな?と思っても、たまに別の病気であることもありますので、ご心配であればお気軽にご相談ください。